入院
ウィッグが届いた日から毎日毎日いざかぶる時に備え、少しずつ10分程度から
装着練習が続いた。
装着練習時期は3月でまだ寒かったから暑さは全く思いもしなかった。
装着してることを忘れてしまうくらい快適というウィッグのハズだから。
ネットもかぶって、しっかり練習した。アジャスターが付いているから脱毛中から
脱毛してしまっても調整できる、ということで何も心配していなかった。
医療用帽子も買って準備万端。
CVポート埋め込みと初めての抗がん剤治療開始で10日程度の入院。
CVポート埋め込み前日に入院した。元気だったから入院してもヒマでヒマで、
朝10時からの入院だったからとにかくヒマで退屈だった。夜、看護師さんから
CVポートの説明と困ったことはないか、絶対に無理はしないように。
仕事は1か月は休んだほしいと言われた。自分では退院したら翌日から仕事に
行くつもりでいた。
翌日のCVポート埋め込みの時間は午後2時頃になった。また、午前中がヒマだ。
一応本を持っていたけど、いくら面白くても読んでる時間には限界がある。
CVポート埋め込みは30分程度で終了というものだと説明された。
午後2時、10分前に看護師さんが「車イスで行きます」と迎えに来た。
向かう先は放射線科の処置室。
処置室に車イスで入って行き、看護師さんはしばらくすると「終わったら迎えに来ます」と戻って行った。
車イスを降り、3段くらいの階段を上って手術台?わからないけど、に座ってパジャマと下着を脱いだ。下だけ着ている状態になってクロックスを脱いで横になった。
身体の上に青色の紙?わからないけど、を広げられた。電気メスを使うということで、
太ももの下に板を入れることになりパジャマのズボンも脱いだ。パンツ一丁じゃん!
普通に意識があるわけだから、これはさすがにおばさんでも恥ずかしいわ。
板がめちゃくちゃ冷たいわ。顔は横向きで苦しくないように透明のカバーみたいなのでガードしてくれた。
色々装置を付けられて、いよいよ始まった。
麻酔が打たれた。痛いわ、痛いわ。しばらくすると麻酔が効いてるか確認された。
何も感じなかった。焦げた匂いがしてきたから電気メスで切開したのがわかった。
麻酔が効いている間は何も感じなかったから早く終わることばかり想っていた。
なんだか痛いような気がしてきた。先生が「痛くないですか?」「少し痛いです」
「麻酔追加します」まだ痛い。「痛いです」「麻酔追加します」を何回も繰り返した。
ホントに痛かった。「痛い、痛い」をずっと言っていた。麻酔追加が限界だったのか
麻酔追加は無かった。「もう少しですから、ガマンしてくださいね」と言われた。
時間も30分で終わらなかった。2時間弱かかった。めちゃくちゃ痛かった。
もぅゴメンだ。
横になったままパジャマのズボンを履かせてもらい、体を起こされ下着とパジャマを着た。看護師さんが迎えに来てくれていた。クロックスを履いて3段の階段を下りた。
帰りも車イスだ。点滴をしながら病室まで戻らないといけないけど、看護師さんは物凄い勢いで車イスを押すから落ちてしまうんじゃないかと怖かった。特に曲がる時はめちゃこわで、おもわず「こわっ」と声が出た。看護師さんは「怖いですか」と笑っていた。病室まで落ちることはなかったけど、怖かった。